近年眠れないという人の相談が多くなった。パソコン・TVに限らず、文明の利器は昼の生活を夜へ大幅に移行させ、睡眠に必要な暗闇と静寂を奪っている。日本人の5人に1人が不眠を訴えているという。決まった一日の時間で、仕事やレジャーを少しでも多くしたいのに思うようにいかない。9月を迎えるといよいよ実りの秋である。収穫を多く期待するには、睡眠を削ってでも働きたいのに。今回は睡眠について述べる。
種々な人がそれぞれの職業や生活をしていれば、睡眠の取り方も千差万別であって不思議ではない。古閑栄之助は、「短時間睡眠法」で、身体活動曲線の型と眠りの型とをもって、15分類を提示し、眠りは個性的であって画一の必要がないと、説いている。彼の著書を要約してご紹介したい。
睡眠は時間をかければよいというものではない。どれだけ、大脳と肉体の疲労が回復できたかが問題なのだ。また、睡眠は精神活動と深い結びつきがある。頭が冴えた状態を作るには長い睡眠時間をとるのではなく、質の良い睡眠を取る。個人差があって、睡眠時間が短いからといって不健康というわけではない。年齢や職業・自分の体質・体力・習慣・生活環境に大きく影響される。自分に合った眠りをすればよい。生活を最大エンジョイするためには、如何に短い時間で必要な睡眠が得られるのかは万人の関心事である。
1)睡眠パターンの分類: 身体活動を、まず夜11時前に眠るのか(早い)、その後に眠る(遅い)のかで区別する。次に、一日で活力が前半にあるのか(A)、後半に出るのか(C)、ずっと持続的である(B)のかを分ける。更に、直ぐに入眠できるのか(S1)、なかなか眠れない(S2)に分けて、これらを組み合わせ12に分類する。特殊型として昼寝を入れた分割型、翌日まで徹夜で仕事をしたりする引き伸ばし型、寝たり起きたりの気ままな波動型の3種類は実際うまくやれれば睡眠の短縮を実行可能とする、と提案している。彼は早BS1と遅BS1をスーパーマン型とし、午前中から元気があり、午後も快調、夜になってもあまりおとろえず、一日好調。床につけば直ぐに深い眠りに入れる。これを理想型としている。自分の一日の身体活動はA型か、B型か、C型か。睡眠型はS1か、S2かを考え、生活型を決める。
2)早く深い眠りにつく方法: 睡眠は一日の心身の疲労を回復させ、翌日にいきいきと活動できるよう備えるための神様の贈り物の一つである。
どうしたら寝つきがよくなるか。2つあって、一つは「新しい脳の系」を静める方法、複雑な環境の中で、この系は慢性の興奮状態だから、身体の活動水準が低下しても入眠妨害の状態なので、これを静める。もう一つは「古い脳の系」の活動を弱める方法である。前者は、寝入りを良くする所なので、このプロセスを上手に扱う。非常に敏感で不安定である。受身の感覚刺激として、新聞、週刊誌、漫画などの読書や静かな音楽がよい。
寝付くことは、後者「古い脳の系」が静まることが必要で、このためには適度に疲れることが望まれる。できるだけ、身体全体が調和よく疲れてくれば、最も効果的に活動水準は下がる。精神労働者は身体の疲れが足りない。ドライブ、散歩、ダンス、体操、等々。 食事では空腹は睡眠が妨げられるので、軽く食べた方がよい。寝酒は功罪分かれる。セックスは入眠には非常に効果的である。
3)深く短く眠る方法:身体活動曲線は変えられる。どうしても、眠らなければならない時刻は、遅型・早型にかかわらず午前2時から6時頃まで。この時間は、身体活動が最低に下がるので、遅型でもこの時刻に睡眠時間を置くのがもっとも効果的である。睡眠4時間は極度に睡眠を短縮させた生活の場合だが、結構こんな無茶と思われる生活をこなしている人がいるのだ。
居眠りと昼寝は、仕事の能率を高める。居眠りの十分間は、夜の眠りの1時間に当たる。昼寝を積極的に活用して、夜の時間を生かす。単に疲れたから昼寝をすると言うのでなく、積極的に昼寝を取り入れた前述の分割型生活や48時間を一日にして暮らす引き伸ばし型生活は状況に対応した睡眠短縮法である。こんな極端は連日は無理としても仕事柄どうしても徹夜が必要な人なら週に2回位の徹夜をして、普通の日は5時間半の睡眠でこなす。
睡眠短縮しても朝の目覚めが、気分よく目覚めなければ、つらい。入眠(レム睡眠)相、中等睡眠相、深睡眠相、逆説睡眠相と睡眠の4段階セットの終わり逆説睡眠相が他のところより起きやすい。1セット(睡眠サイクル)は大体2時間として、4,6,8時間目辺りの目覚コールが望ましいことになる。
頭の働きを良くする気分転換の方法。1)こまめに身体を動かす。2)ちょっと仕事をストップする。3)おしゃべりをする。
(US
JAPAN新聞ー2003年9月12日号掲載)